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PSX(ピーエスエックス)はソニー株式会社が2003年から2005年にかけて発売していた、テレビゲーム(プレイステーション2)機能を併せ持ったハイブリッドレコーダ(ハードディスク搭載DVDレコーダー)である。
概要
ソニーはPSXを「ハードディスクが搭載されたハイブリッド(HDD・DVD)レコーダー」としているが、基本的な部品はプレイステーション2で使われているものを流用しており、まさに「録画ができるプレステ」であった。なお、本機はプレイステーションを展開するソニー子会社ソニー・コンピュータエンタテインメントの発売製品ではない。
2003年12月に、250GB HDD搭載の「DESR-7000(希望小売価格99,800円)」、160GB HDD搭載の「DESR-5000(同79,800円)」が発売された。この希望小売価格は当時主流であった地上波アナログチューナのみ内蔵のDVDレコーダー(HDD無し)のエントリーモデルと同水準であった。なお、発売された2003年-2004年時点ではデジタルチューナーが幾分高価格であったため、地上波・BS(7000番台のみ)アナログチューナーのみ搭載された。デジタル放送の録画は、デジタルチューナー(デッキ単体・内蔵テレビ)とRCA端子(S映像端子含む)でアナログ接続し、出力された標準画質を内蔵HDDへ1回のみ録画する方法しか無かった(コピーワンスにより、初代モデル(CPRM非対応)のDVDドライブでのムーブは不可)。先に発売されていた、HDD(単体)レコーダーcocoonやスゴ録と同じくG-GuideによるEPGが搭載されている。なお、2011年以降に予定されている地上波アナログ放送とBSアナログ放送の停波を迎えると、本機単体ではテレビ放送の録画が不可能となるため注意が必要である。
- PSX以外のハイブリッドレコーダーで地上波デジタルチューナーが搭載された機種が発売されるのは2004年に入ってからであり、先陣を切ったスゴ録やディーガでは実勢価格が10万円を上回る上位モデルとして発売されていた。
メニュー画面にクロスバーと言われる横列の機能別メニューと縦列の項目ボタンを交差させて機能選択する、新感覚のGUI クロスメディアバー(XMB)を導入した最初の機種でもある。現在も、PSP・VAIO(Do VAIO・VAIO Media)・プレイステーション3・ソニー・エリクソン製携帯電話やブラビア・BDレコーダーに装備されている。
また、メモリースティックスロット(ドライブ)が搭載されており、メモリースティックに保存されたJPEG方式などの画像やATRACオーディオのファイルをスライドショー形式で再生することができる。この部分は2004年以降のスゴ録やブルーレイディスクレコーダーの一部機種と、PS3本体機能にも反映されている。更に2004年のアップデートで、PSXのHDD上の録画番組(デジタルチューナーからのダビングによるコピーワンス付きを除く)をメモリースティックにコピーし、PSP等で再生できる機能も追加された。これはブルーレイディスクレコーダーの「おまかせ転送機能」や、PS3の地上波デジタル放送視聴キットトルネの機能に継承されている。
2004年9月ごろにDESR-5100(2代目)の実勢価格が当時のハイブリッドレコーダーでは珍しい4万円台にまで下がったことがネット掲示板などで話題となり、その頃から飛ぶように売れた。発売から半年後に家電量販店などではDVDレコーダーの月間売上1位を獲得し、HDD・DVDレコーダーの普及に役立ったと言われる。
2005年2月、PSXのWebページ上で2004年12月に発売されたばかりの新機種の生産完了が告知された。翌3月には、一貫してPSX プロジェクトを推進してきた久夛良木健副社長は辞任した。また、PSPとの連係機能は機能を改良して、2005年11月に発売されたスゴ録に搭載された。さらに、PSX開発陣をスゴ録開発陣が吸収しソニーはスゴ録(2007年以降はBDレコーダー)を発売している。
プレイステーション2機能
プレイステーション及びプレイステーション2の規格のソフトがプレイ可能である。HDD空き容量の40GBをゲーム側へ割り当て、内蔵のイーサネットポートを使用することでPlayStation BB Unitと同等の機能を持たせることもできる(ただし、DESR-5500・7500モデル以降PlayStation BB Navigator非対応となった)。
プレイステーション2と比較すると、コントローラポートは背面にあるため、コントローラは4メートルほどのケーブルが付いた専用のものを使う必要があること、USBポートが1つしかない、メモリースティック用スロットがある、メモリーカード差込口の形状から来る物理的な制限のため、ポケットステーションに非対応などの相違がある。
仕様
- CPUおよび描画プロセッサー:90nm Emotion Engine + Graphics Synthesizer
- 記録可能メディア:HDD、DVD-R、DVD-RW、DVD+R、DVD+RW
- 再生可能メディア:DVD-VIDEO、DVD-R、DVD-RW、DVD+R、DVD+RW、音楽CD、CD-R、メモリースティック、PlayStation規格CD-ROM、PlayStation 2規格CD-ROM/DVD-ROM
- 高画質・高音質化回路:
- 3次元Y/C分離
- ビデオD/Aコンバーター(12ビット 108MHz)
- ゴーストリダクションチューナー
- オーディオD/Aコンバーター
- 入出力端子:
- D端子出力(D1/D2)×1
- コンポジット映像/S映像(S1)/ステレオ音声 出力端子×1、
- コンポジット映像/S映像/ステレオ音声 入力端子×1、
- 光デジタル音声出力(S/PDIF)×1
- 100BASE-TX ×1
- USB(Ver. 1.1)端子×1
- メモリースティック挿入口×1
- PlayStation, PlayStation 2用メモリーカード差込口×2
- コントローラ端子×2
- 大きさ:312×88×323mm(幅×高さ×奥行)
その他
DESR-5000・DESR-7000の発売直前に、検証が出来ていない機能を実装しない状態で販売されるとアナウンスされた。そして、その後のファームウェアアップデートでその機能が実装されることになった。当初、PSXの本体カラーは5色とする予定であったが、同社が発売したスゴ録に人気が集まってしまい、結局本体カラーはホワイトとシルバー(DESR-5100のみ)だけとなった。ソニーはスゴ録よりもPSXに力を入れていたものの、スゴ録が爆発的にヒットしスゴ録が主流となった。大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」 果たして、PSXは失敗だったのか?スゴ録ヒット後に出されたPSXもその影響を受け、初期のスゴ録とほぼ同等の機能が追加された。PSXとスゴ録は同時に開発チームが組まれ、スゴ録の開発チームはごく少人数であり、逆にPSXの開発チームは久夛良木健指揮の大人数プロジェクトだった。
2004年に本機の実勢価格下落により売上を伸ばしたものの、その後は失速した。HDD・DVDレコーダーが全般的に価格も下がったことが要因といえる。また、ゲーム機能を重視せず、操作が簡便なHDD・DVDレコーダーを求めるホームユーザーが多く、ゲーム機能を嫌がる中高年層に対して売り込むことが出来なかったのも一因である。
PSX自体がゲームに向かなかったことも売り上げが伸びなかった要因に挙げられる。PSXを立ち上げた後にゲームソフトを読み込まなくてはならないため、ゲーム起動までの時間が長かったり、ゲームパッドのインターフェイスが背面の出し入れしにくい位置にあるためコントローラーの差し替えがしにくく、実質的にケーブルの延長が必要であったり、ゲーム機として極めて悪いユーザーインターフェイスであることなどがある。
本体バリエーション
- 「DESR-5000(160GB)」「DESR-7000(250GB)」
- 2003年12月13日に発売された最初のモデル。
- 「DESR-5100(160GB)」「DESR-7100(250GB)」
- 2004年7月1日発売。DESR-5100については、台数限定でシルバーモデルも用意された。ハードウェアの変更はない。またアンテナの分配器が付属するようになった。
- 「DESR-5500(160GB)」「DESR-7500(250GB)」
- 2004年12月10日発売。大幅にソフトウェアとハードウェアが変更された。従来はHDDの容量の違いのみだったが、上位モデルのDESR-7500だけGRT、BSアナログチューナ、DV端子を搭載し、デジタルビデオカメラの映像取込・編集が行える(ただし、GRT、BSアナログチューナは下位機種のDESR-5000・7000・5100・7100にも搭載されている)。また、アンテナ線のスルー出力端子を搭載した。ソフトウェア方面は録画機能に「x-おまかせ・まる録」が追加され、同社のスゴ録などのおまかせ・まる録機能と同様になった。この機種よりPlayStation BB Navigatorに非対応となった。
- 「DESR-5700(160GB)」「DESR-7700(250GB)」
- 2005年4月15日発売。前機種からの違いは、録画した番組をプレイステーションポータブルで再生できるビデオフォーマット(MPEG-4/AACステレオ)に変換できること。
バージョンアップ履歴
発売当初、動作検証不足などを理由に仕様の変更が行われており、後日、無償アップグレードで正式な仕様に近づいた。DESR-5100とDESR-7100については発売時より「2004年8月3日」の最新の状態になっていた。
「DESR-5000」と「DESR-7000」
- 2004年2月10日
- * HDDからDVDへのダビング速度が最大24倍速に向上
- * 音楽フォーマットMP3対応
- * 延長録画時の再延長設定が可能
- * フラッシュ機能(15秒前後早送り/早戻しできる。)
- * 早送り、早戻しの30倍速に対応(このアップデートまで早送り/早戻し機能は2/10/120の3段階)
- * ビデオタイトルソート機能
- * タイトル入力時のUSBキーボード対応
- * その他、不具合の修正
- 2004年3月31日
- * DVD+RWの録画・再生
- * サイバーショットのGIF形式静止画、動画フォーマットの再生・取り込み
- * 1.3倍速の早見再生
- * 二カ国語音声録画
- * 市販DVDソフトの30倍速早送り/早戻し
- * 番組表上での予約修正の対応
- * CD-Rからサイバーショットの静止画・動画の再生・取り込み
- * CD-R上のMP3認識可能曲数が99曲/1フォルダに増加
- * 静止画スライドショー再生時に途中で停止する点の修正
- 2004年7月1日
- * PSXの新機種発売。ハードウェア的には何も変更がないが、GUI関係が一新されている。またそれに伴い、旧機種ユーザー向けに、7月15日より第3回目のアップデートが行われる予定であったが、7月12日に8月3日へ延期されることが発表された。
新機種の発表と、旧機種のアップデートの情報は、6月中旬に行われたが、この数日後から、携帯電話に「PSX「DESR-5100(限定シルバー)」をプレゼント」すると騙ったチェーンメールが流れ、ソニーおよびグループ各社が対応に追われた。
- 2004年8月3日
- * グラフィカルなDVDタイトルメニューの作成機能
- * DVDへの追記ダビング機能
- * 録画モード変更機能
- * チャプター編集機能
- * PlayStationBBに対応(ただし閲覧のみでコンテンツ内の動画、ゲーム等のダウンロードには対応しない)
「DESR-5500」と「DESR-7500」
- 2005年5月17日
- *PSPで再生できるメモリースティックビデオフォーマット(MPEG-4/AACステレオ)の変換機能を加える(ソフトウェアでの変換らしく、録画時間の4~5倍変換に時間がかかり、エンコード中は他の操作ができない。)。
外部リンク
- PSXホームページ(日本)
脚注